2019年4月27日 段戸川C&R区間開設イベント

2年以上前から、名倉川漁協の方々を中心に、石垣先生始めたくさんのテンカラの諸先輩方と協力して進めてきた段戸川C&R区間/段戸川倶楽部の設立が、2019/4/27の開設イベントで一区切りしました。

私は事務局として動いてきたのでホっと一安心です。

今は渓相/魚影の濃さともに良い状態(ただし成魚放流)ですが、これから更に良いエリアつまり「発眼卵や自然繁殖から成長した美しいアマゴだけが釣れる川」にしていくために関係者の皆様と協力して邁進していきます。

 

以下はつり人7月号にも掲載されている当日レポートの原文です。

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つり人の掲載レポートは少し短いバージョンなんで、こちらの原文の方が長いです。

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2019年GW初日、愛知県2019シーズンにオープンしたばかりの段戸川C&R区間で開設イベントがおこなわれた。

段戸川は豊田市中心部から車で45分ほど東に位置しており、名古屋市からでも高速を利用すれば1時間程度で行ける距離である。

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段戸川の渓相

 

愛知・三重の釣り人は有望な渓流がないことから、岐阜や長野まで遠征することが多かったのだが、このエリアで「名古屋から1時間で行ける場所に1日10匹のアマゴが釣れる川を!」ということを目標に、2年前から発眼卵放流等の取り組みを始め、ようやく実現したものである。

 

新緑が萌え出始め、鳥達のなき声が日に日に大きくなるこの季節、C&R区間のお披露目と段戸川倶楽部(後述)の紹介を目的に開設イベントが開かれた。

遠くは横浜、長野から総勢35人の釣り人が集まった。

開設イベントは①テンカラ講習 ②源流釣行のためのザイルワーク講習 ③釣り大会の3つのコンテンツが用意され、参加者それぞれが希望する内容にエントリーする。

 

①テンカラ講習は、テンカラ大王の名で親しまれる石垣尚男氏と仲間の熟練テンカラ師3名による手厚い内容である。

テンカラが初めての人、ある程度やっているが独自のやり方で今一つ悩んでいる人にとって、今回のように実釣しながら熟練者からポイントを聞ける機会は非常に貴重である。

内容は簡単な説明、キャスティング練習から始まり、実釣指導では参加者2-3人に1人の講師という恵まれたサポート体制で、ポイントの見方や毛鉤の流し方、アワセのタイミング等をそれぞれのレベルに応じて学ぶことが出来たはずだ。

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②ザイルワーク講習は、源流釣行を見据え、道具の説明、リード/フォロークライミング、懸垂下降と一通りの内容を実施するが、特に懸垂下降に重点を置いて講習をおこなった。

沢の横に登山道や杣道がある場合はよいが、同ルートを下降する場合、登りよりも下る方が難しい場合が多い。

参加者は2m程度の懸垂下降から始め、徐々に斜度と高さを上げ、最後は8m程度の急斜面を降りた。

なかなか1回の講習で全てを出来るようになることは難しいが、1度でも実体験をすると本を読んでも頭に入り方が違うので役立つだろう。

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③釣り大会は釣法不問、自己申告のゆるーいものである。たくさんの人に段戸川C&R区間の美しい渓相を見てほしい、アマゴの魚影を感じてほしいのだ。

ゆるくとも商品は猪や鹿といったジビエのスペアリブやロース肉など!

当日は4月というのに東北では雪も降るという寒波が下りた日だったため活性がかなり低く厳しい状況だったが、皆思い思いのポイントに散らばり、楽しんで頂いた。

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午前で全コンテンツを終了後、ジビエ焼肉ランチ、全員参加によるバザーを挟み(収入はC&R区間へのアマゴ放流費用となる)、段戸川C&R区間の目指すもの、段戸川倶楽部の説明である。

この段戸川C&R区間では、段戸川倶楽部という釣り人組織が非常に重要な役目を果たしている。

 

何故重要なのか?ということについては、内水面漁協のおかれている状況から説明する必要がある。

多くの釣り人は「昔はもっと魚がいた。自分達は遊漁料を払っているのだから、漁協はもっと釣れるよう川の管理をしてほしい」と考えているはずだ。

 

確かに漁協は漁業法の規定により第5種共同漁業権の免許をうけ、アマゴなどの対象魚種について増殖義務が課せられている。

 

昔は良かった。漁協がある地域にも若者含めた動ける人がたくさんいて、地域で生活がとじられていたこともあり、放流等の漁協活動をおこなう時間もあった。更にダムや堰堤なども少なく魚も増えやすい環境にあった。

 

しかし、現在はどうだろう。

地域は過疎化である。地域に動ける人はおらず、漁協活動どころではない。多くのダムや堰堤が作られ、河川環境も悪化しており、魚も増えにくい状況だ。

 

漁協では組合員が時間の合間をぬって放流等の漁協活動をおこなっている。

多くの釣り人は「内水面漁協組合員が本業ではなく、通常別に本業をもち、土日等の空いた時間で漁協活動をやらねばならない状況」も知らないかもしれない。

更に言うと、役員でも報酬は10万/年程度が多く、数10日/年の業務が発生し、これらはボランティア活動のようなものである。

 

ご存知のように監視まできっちりやれる体力のある漁協の数はかなり少ない。

段戸川C&R区間を苦労して設立した名倉川漁協も例外ではない。

 

このような状況で設立されたのが段戸川倶楽部である。

釣り人もこのまま日本の河川でどんどん魚が釣れなくなるのは避けたい、たくさん釣れる良い川が増えてほしいのだ。この点は漁協と利害が一致する。

そこで、漁協側が正式にHPで監視活動に協力してくれる釣り人を募集し、それに釣り人が応じて出来た組織が「段戸川倶楽部」である。

(有志ではなく、正式に組織化されているところがポイント)

 

漁協組合員が監視のためだけに、早朝から日暮れまで川を見てまわるのは他に本職がある状況ではかなり厳しいが、釣り人であれば、自分も釣りをする際についでに監視もすればよい。その数が30人でもいれば、月に延べ30日の監視業務を出来ることになる。

是非このC&R区間を密漁から守り、皆が喜ぶ釣り場を作るサポートをして頂けると有難い。

 

と、このような説明を当日もおこなったところ、新規に7名の人が段戸川倶楽部への参加を申し込んでくれた。

 

2019年5月1日現在、段戸川倶楽部は27名の会員で運営している。

会員が釣行時には、自分が楽しんで釣ると同時に、キープ目的で釣っている人がいないか等を監視し、結果をメーリングリストに流している。

倶楽部の活動のおかげで、段戸川C&R区間は密漁も少ない状態で運営出来ている。

 

段戸川倶楽部の活動が、漁協と釣り人の新しいモデルになるのか?今後の状況に注目してほしい。

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当日の写真を適当に貼り付け。

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当日参加した段戸川倶楽部メンバー集合写真

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渓流荘でのジビエ焼肉ランチ

 

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